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「戦争の記憶」の異聞

このキーワードを含む記録が14篇あります。

125

アジア

ラオス・シエンクワーン県とヴィエンチャン

未発の恩寵

一九七〇年代の終わり、ジャール平原。不発の子爆弾が兄の手の中で弾け、少年ソムリットは一人残された。三十年後、通訳ガイドとして国道七号線を走る車のすぐ後ろで、取り残された爆弾が爆発する。その夜、宿の戸口に、黙って立つ人影があった。

読了 25分

119

アジア

イラン・テヘラン北部、シェミラン地区

静止する座標

一九七六年九月、テヘラン北部シェミラン。屋上に寝床を出した家族の頭上に、色を変えながら動かない光が浮かんでいた。父は空港に電話をかけ、夜半には戦闘機が二度、その光へ向かって飛んだ。革命と戦争を越え、三十年後、彼女はあの夜の「裏側」を知る。

イラン未解決事件戦争の記憶テヘランUFO事件

読了 20分

118

ヨーロッパ

ギリシャ・クレタ島南西岸、スファキア地方フランゴカステロ

ドロスリーテス

クレタ島南岸の古い城塞フランゴカステロ。風のない五月の夜明けにだけ、黒い人影の列が浜を横切り、海に消えるという。一九四二年、ドイツ兵がその列に銃を向けるのを見た祖母の話を確かめるため、孫は毎年、条件のそろう朝を待ち続ける。

読了 23分

099

ヨーロッパ全文公開

リトアニア・ヴァレナ郡、ダイナヴァ原生林

森は忘れない

国有林の森林調査技師が、ソ連占領期に抵抗した反ソ・パルチザン「森の兄弟」の埋もれた地下壕を発見する。その夜、七十年前に生き埋めにされた兵士たちの怨念が押し寄せる中、彼は黒パンと蜂蜜酒を捧げ、祖国の独立を告げて死者たちを鎮める。

リトアニア怨霊山・森林戦争の記憶森の兄弟死者の日

読了 27分

094

ヨーロッパ

ギリシャ・テッサリア地方

還らぬ肉

祖父の改葬(エクタフィ)に帰省した建築技師が、五年経っても腐らず残った遺体と対面する。土に拒まれた肉の下に隠されていたのは、内戦の裏切りによって身代わりに埋められた大叔父の骨と、七十年間語られなかった一族の罪だった。

読了 31分

080

アジア

フィリピン・ルソン島バギオ

包帯を巻く音が、廊下の向こうから

文部省の研修でバギオの宿舎に泊まった若い教師が、深夜の廊下に響く軍靴の足音と、ベッドの下から伸びてくる包帯の腕に出会う。彼が返したのは、恐怖ではなく、忘れないという約束だった。

読了 23分

074

ヨーロッパ

オランダ・ベルギー国境、カームトハウトセ・ハイデ湿原

碍子と針金

オランダとベルギーの合同合宿で「ドロッピング」に放り出された四人の高校生は、深い霧の湿原で方位磁針が狂う場所に迷い込む。そこに現れたのは、第一次世界大戦中に高圧電流の国境柵で命を落とした、越境者たちの残留する記憶だった。

オランダベルギー軍事・国境戦争の記憶幽霊ドードドラート

読了 25分

073

アジア

韓国・江原道麟蹄郡、軍事境界線に近い山岳地帯

線路のない野戦電話

臨時の夜間警戒で山頂の副哨所に入ったハン・ジヌ一等兵は、暗視鏡越しに朝鮮戦争当時の軍服を纏った兵士の影を見る。通信線の切れた旧式野戦電話が鳴り出し、鉄条網に取り付く無数の亡霊たちを前に、先任兵チェ・ソンホが下した決断だけが、二人を生かした。

読了 25分

071

ヨーロッパ

ポーランド南東部、ビェシュチャディ山地

サン川の消えた谷

廃村の地形スキャン調査に入った写真測量技師マテウシュは、サーマルカメラに映った無数の人型の熱源に気づく。ドローンを回収に向かった鐘楼の跡で彼を待っていたのは、一九四七年の強制移住の夜を今も繰り返す、村人たちの残留思念だった。

読了 29分

060

アジア

韓国・江原道楊口郡、亥安盆地(パンチボウル)の軍事境界線一帯

鳴り続ける野戦電話

兵役の終わりを間近に控えた兵長ミンソクは、新兵ジヌとともに楊口の最前線監視哨で深夜の歩哨に立つ。立入禁止区域の廃掩体壕に放置された断線した野戦電話が、真夜中に一人でに鳴り始め、通気管の奥から三十年前の交戦音声が響いてくる。ミンソクとジヌは、旧式の戦闘服をまとった白濁した眼の兵士と対峙し、政変の混乱の陰に埋もれた分隊全滅の記憶と向き合うことになる。

韓国軍事・国境幽霊戦争の記憶パンチボウル軍事境界線

読了 24分

057

ヨーロッパ

スペイン・カスティーリャ・イ・レオン州パレンシア県、ティエラ・デ・カンポスの寒村

床下の熱

公務員試験浪人のセルヒオは、猛勉強のため祖父が遺したパレンシアの寒村の古い屋敷に移り住み、伝統的な床下暖房「グロリア」を焚いて暮らし始める。だが火を入れた夜ごと、床タイルの裏側から人間の爪で引っ掻くような音と焼け焦げる臭いが這い上がってくる。隣人の老羊飼いが明かす内戦後の飢餓の時代の記憶とともに、セルヒオは猛吹雪の孤立した屋敷で、床下に眠り続ける小さな魂と対峙することになる。

読了 24分

055

ヨーロッパ

ロシア・マガダン州、連邦道路R504コルイマ街道

カドイクチャンの分岐点

マガダンの燃料輸送トラック運転手アレクセイは、古参の相棒スラヴァとともに、零下五十度を超えるコルイマ街道を走行中、廃墟の炭鉱都市カドイクチャンの分岐点でエンジントラブルに見舞われる。動けなくなった車の周囲に、かつて道路建設に使役され凍土に消えた囚人たちの影が群がり始め、二人は燃料タンクの外壁に刻まれていく無数の凍りついた手形とともに、骨の道の記憶と対峙することになる。

読了 21分

029

アジア

韓国・慶尚北道盈徳郡

潮鳴りの英霊碑

韓国三大凶宅の一つに数えられた国道七号線沿いの廃屋。工事関係者の不審死、巫堂の敗走、暗視カメラに映った少年たちの群れ——その足元には、朝鮮戦争のある陽動作戦が眠っていた。

読了 26分